着物の保管と手入れ

着物の保管

着物を保管する際に防虫剤・防湿剤を使用する場合は、下記をご参照ください。

防虫剤

防虫剤には「パラジクロル系」「ナフタリン」「しょうのう」の3種類があります

パラジクロル系 防虫効果が高いとされています。和タンスの場合、1つの引き出しに6個ぐらいを目安に、四隅に入れてください。
ナフタリン 効果は長持ちしますが、揮発性が少ないため、パラジクロル系の2~3倍の量が必要となります。
しょうのう パラジクロル系・ナフタリンに比べると効力は落ちます。しかし香りがよいため 多くの方に使用されています。

※箔使いの着物・帯には、防虫剤の使用を避けましょう。

※防虫剤のガスは空気よりも重いので下に沈みます。そのため防虫剤は、着物の上に置くようにしましょう。

※2種類以上の防虫剤を同じ場所に入れてしまうと、化学反応を起こして水分が生じ、着物を傷めてしまいます。1つの引き出しには1種類の防虫剤という原則を守ってください。

防湿剤

防湿剤には、シリカゲルがおすすめです。シリカゲルは青みを帯びた結晶体で、湿気を吸うとピンクに変色します。変色したら新しいものと取り替えるか、フライパンなどを使用して弱火でゆっくりと炒り、再生してもかまいません。布の袋に入れてタンスの隅に入れるようにしてください。

着物の手入れ

土用干しと寒干し

昔から湿気の多い日本では、7月下旬から8月下旬にかけて、晴天の日に衣装や書画を風に通す習慣があります。これを土用干しといいます。これは梅雨の間に吸った湿気を取ることで、防カビ・防虫するのが目的です。そして、長い期間畳んだままの着物を広げ、隅から隅まで点検するチャンスでもあります。

空気が乾燥して虫がつく心配がない1月から2月には、寒干しをします。着物だけではなく、帯〆・帯揚げなどの小物も干し、着物を包んでいた「たとう紙」や白い布、タンスの引き出しにも風を通します。時間帯は、午前10時から午後3時頃までの間に行うようにしましょう。
雨の降った次の日は晴れていても湿気がありますので、2,3日晴天が続いた日を選んで寒干しするようにしてください。

干し方

直射日光が当たらない風通しのよい室内にロープを張り、着物を1枚ずつ広げてかけます。木綿・麻などは日光に直接当ててもかまいません。

染みがついてしまったら…

外出先で染みをつけてしまった場合には、すぐに応急処置をし、帰宅してからご自宅でゆっくり染みを取るようにしてください。

応急処置の方法

染みの下に乾いたタオル・手ぬぐいを当て、かたく絞った布で上から軽くことで、下の布に染みを吸い取らせます。染料が落ちたり輪じみができたりすることがないよう、気をつけましょう。

※専門家に染み抜きを依頼する場合は、染みのまわりに糸じるしをし、いつの染みかを説明するようにしましょう。

染み抜きの3大原則

こするな、生地をいためる
拡げるな、汚点が大きくなる
熱するな、汚点と生地の結合が強くなる

染み抜きをする際は、この3大原則を必ず守るようにしてください。

自分で染みを落とす方法

自分で染みを落とす場合、染みの種類に合わせ、正しい方法で行うことが大切です。

お茶・コーヒー・紅茶の染み 0.5%の中性洗剤溶液を布につけてたたきます。その後、水で絞った布で よくたたいてください。
果汁の染み 10倍に薄めた酢もしくは中性洗剤溶液を布につけ、たたきます。
しょうゆ・ソースの染み ぬるま湯で溶かした石鹸液を布につけ、たたきます。
香水の染み アルコールを10倍に薄めた液か中性洗剤溶液を布につけ、たたきます。
口紅の染み ベンジンか中性洗剤溶液を布につけ、たたきます。
血液の染み 染みに大根おろしをつけてしばらく置き、石鹸液で洗います。
マジックインキ・ボールペン液の染み シンナーかアルコールを布につけたたいた後、洗剤溶液で洗います。

普段の手入れ

着物を長持ちさせ、いつもきれいに着るためには、手入れを丁寧に行うことが大切です。

お太鼓の山、胴の前に出るところ、たれ先などはいつの間にか汚れているものです。ビロードの小布団で軽く汚れをはらい、きれいな消しゴムで布目に沿って軽くたたくようにします。結び目のしわは、あて布をして低温のアイロンでしわを伸ばします。

半衿

絹の半衿は黄ばみやすいので、その都度ベンジンで汚れを取るようにしましょう。アセテートのものは、洗っても黄ばみませんので、中性洗剤の溶液の中で軽く揉み洗いし、軽くアイロンを当ててください。

足袋

特に汚れの激しい爪先やかかとは、爪ブラシを利用し、布目にそってこするときれいになります。

生乾きのときにアイロンを当て、仕上げましょう。季節が変わるときに夏足袋と冬足袋を入れ替えますが、その時にまとめて漂白しておくと、次の季節に気持ちよく履けます。

帯揚げ

【絞り】
絞りのものは、広口のビン(インスタントコーヒーの空き瓶など) に帯揚げを入れ、たっぷりひたる程度のベンジンを注いで軽く振り、30分程度浸して取り出します。取り出した帯揚げは乾いたタオルにはさみ、水分を吸い取ってから陰干しにします。

【絞り以外】
紋綸子、平綸子、縮緬などの絞りの入ってない帯揚げは、中性洗剤の溶液につけて軽く押し洗いしましょう。その後よくすすぎ、乾いたタオルにはさみ、水分を取りましょう。さらに、陰干しして低温のアイロンをかけておきます。

帯〆

汚れのひどいところは脱脂綿にベンジンをつけ、こするようにして落とします。全体的に汚れた場合には帯揚げと同様、ベンジン液に入れて軽くふり、30分程度浸してから取り出し、水分を蒸発させます。房が乱れてるときは軽く湯気を当て、和紙を巻いておくようにしましょう。

※薄い色の帯〆が全体的に汚れてしまった場合は、市販されている染料で簡単に染められます。元の色よりも濃い色でしたら、何色にでも染められます。その際、帯揚げも一緒に染めると色の調和がとれます。

汚れをつけないために

きれいに汚れを落とすことも大切ですが、汚さないに越したことはありません。ちょっとした心掛けで、汚れを防ぐことができます。

食事のとき 一番汚れ、染みを付けやすいのが、食事のときです。大判のハンカチを準備し、ひざに置き ナフキンは前衿に付けるようにしてください。ハンカチはガーゼのものを最低3枚、一度洗って染み易くしたものを使うとよいでしょう。ブロードのものは吸収性が悪く不適です。
雨のとき 泥染みがつき易いので 裾短に着るとよいでしょう。もしくは着物を着た後に、もう一度腰紐を使って、裾を上げ気味に押さえるようにしましょう。
お手洗いのとき 洋式のお手洗いをご利用ください。和式ですと、水洗の水しぶきで裾を汚してしまいます。
手を洗うとき 袖を帯に挟んでから、手を洗うようにしてください。湿気は着物の大敵です!カビの原因になりますので、注意しましょう。